期待を遥かに上回る面白さ~スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

世間でも話題沸騰のスパイダーマン:ファー・フロム・ホームを見てきたので、レビューや思いの丈、考察などをまとめてみた。

ファー・フロム・ホームをこれから見る人へ

ファー・フロム・ホームを実はまだ見ていないという人向けに、ファー・フロム・ホームのあらすじや見る上での注意点をまずは話すね。

ファー・フロム・ホームのあらすじ

「アベンジャーズ エンドゲーム」の戦いが終わった後、スパイダーマンことピーター・パーカーは多くの人間から絶大な期待を寄せられていた。

しかしピーターはまだ10代の高校生。任務を無視し、夏休みにクラスメイトとヨーロッパへ出かけ、恋心を寄せるMJに告白しようとするが。だがそこに、エレメンタルズと呼ばれる別宇宙からの敵が襲来する。

動揺するピーターだったが、そこにミステリオと名乗る謎のヒーローが現れ、ピータを手助けする。

ヒーローの宿命からは逃れられない。ピーターはミステリオと共闘し、エレメンタルズと戦うことを決意するが……。

見どころポイント
  • 主人公が青春と恋愛に葛藤しつつ、ヒーローとして覚醒!
  • 遂にMJにスポットが当たる
  • アベンジャーズのその後が描かれる
  • 衝撃の展開が……?

見ておいた方が良いマーベル作品まとめ

今作のスパイダーマンは、前作「スパイダーマン:ホームカミング」の続編だが、同時にMCUという大きなシリーズの1作でもある。本作を見て混乱しないためにも、MCUシリーズにおけるスパイダーマン関連の時系列をまとめてみた。

アベンジャーズにおけるスパイダーマンの時系列まとめ
  • シビル・ウォー:スパイダーマン初登場
  • スパイダーマン:ホームカミング:スパイダーマンの主人公作品
  • アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー:スパイダーマンたちが超強敵サノスと戦う
  • アベンジャーズ/エンドゲーム:映画に出てきた指パッチン現象に触れる
  • スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム←今ここ!

出演作品が多数あって、できれば全作品見ておいた方が良いけど、本作だけ見ても十分楽しめると思う。

ちなみに過去の映画作品、無印スパイダーマンやアメイジングスパイダーマンとは、一切関係がない。

上記以外では、「キャプテン・マーベル」「アイアンマン(1のみ)」を見ておけば、細かなネタやニヤリとなるシーンが分かるため、余裕があればチェックしてみよう。

ネタバレは本当に注意

ここからはネタバレ前回で語っていく。アクション映画というと、作品の結末を知っていても楽しめるケースがあるけど、本作に関しては展開を把握しているかどうかで、満足度が大きく変わってくると思う。

また見ていないという人は、さっさと映画館に行くか、円盤を購入するのをおすすめする。

ネタバレ全開の感想

気になったところを一つずつ紹介していくよ。

ヒーローの宿命からは逃れられない

前作ホームカミングでピーター君は、「アベンジャーズに入りたい」「ヒーローとして認められたい」という欲求を抱えていた。

今作では前作などの活躍が評価され、ピーター君も一人前のヒーローとして認められるどころか、トニー・スタークの後継者とまで呼ばれるようになる。

人々から絶大な期待を寄せられるが、ピーター君はまだ高校生の少年に過ぎず、逃避するような形で旅行に参加する。しかしヒーローとしての宿命からは逃れられず、エレメンタルズとの戦いに巻き込まれていく。

ホームカミングの冒頭、ヴァルチャーは「無理な背伸びはするな」と忠告されるもそれを無視。本編で相応の代償を払うことになるが、ピーター君の場合は、今作で背伸びした報いというか、責任を負うことになったというわけだ。

さらにトニー・スタークを継ぐ者として、イーディスという超高性能な眼鏡まで渡される。ピーター君は責任の重圧から逃れるため、つい最近知り合ったばかりのミステリオに託す。

だがそのミステリオは悪人で、ピーター君は自分が投げ出したものを回収するために奮闘。さらにラストでは軽々しく投げ出したツケが肥大化してピーター君を苦しめることになる。

大いなる力には大いなる責任が伴うという、スパイダーマン作品に共通する絶対的なテーマを、ピーター君に教え込むかのような凄絶な展開だ。

トニー・スタークが残した問題

前作ホームカミングでもトニー・スタークが大きく関わっていたが、本作でも彼は絶大な存在感を放っている。

物語の冒頭から、トニー・スタークを追悼するシーンや、誰が彼の後を継ぐのかなどが強く描かれており、本作がどういうストーリーなのか察することができる。

本編ではトニー・スタークが開発した眼鏡(イーディス)が、ピーター君に無条件で渡されていたけど、実質今作でピーター君に降りかかる問題こそが、トニー・スタークの跡を継ぐための試練だったんだろうなあと感じた。

本作の重要キャラミステリオに関して

こいつには完全に騙されました。

最初に登場したエレメンタルズという敵キャラは、四元素をテーマにしたザ・定番といった感じの敵キャラだったため、中盤くらいで退場。新たなエレメンタルズが登場、もしくは倒したエレメンタルズが合体するかと思っていた。

それでミステリオの方も、中盤あたりでピーター君を庇って退場すると予想していた。

流れ的には、ピーター君にとっての新たな希望であり、自分にはない勇気と責任感を持ったミステリオが死亡。

ミステリオが何とかしてくれるとに期待していたピーター君は、もう自分を助けてくれる人がいないということで絶望。そしてそこから立ち直る展開かと考えていたら、まさか全部ミステリオの策略だったとは……。

確かに別の地球を滅ぼすほどの存在を、ミステリオ一人で何体も倒すなど、おかしな点もあったなあ……。

ミステリオについてはてっきり、ファー・フロム・ホームのオリジナルキャラかと思っていたが、どうやら原作にも登場する敵キャラのようだ。原作でも映画同様の曲者のようで、調べたら原作ファンからは怪しまれていた。

追記

ちなみに映画を見た後にスパイダーマンのゲームをプレイしたら、偶然ミステリオのコスプレをした奴が出てきた。もしも映画とゲームの順番が逆だったら、軽いネタバレになっていた……

危ない、危ない……。

ミステリオは極めて現代的な敵キャラ

ミステリオの戦い方を見て感じたのが、実に現代的な戦い方をするなあという点。

ドローンに関しては言わずもがな。

ホログラムに関して実現には遠いが、最近ではAR技術というホログラムに近い技術が活躍している。またリアルに限らなければ、録画した映像に最新のVFXを組み合わせることで、誰でもミステリオのようなことができる。

もっと身近な例でいうと、画像や映像を加工してフェイクニュースを作るという行為も、ミステリオ的だ。

度々話題になるドローンや、ネットなどでデマを撒き散らす人など、現代の問題を上手く敵の能力に昇華したなあと素直に感心する。

MJが本領発揮する恋愛面

本作における重要なイベントの1つが恋愛だ。こちらに関しても冒頭から、ハッピーとメイおばさん、ネッドとベティなど、身近かつ意外なカップルが出来上がっている。

まさかリア充になるとは……本当に驚いた……。

ピーターに感じては、ホームカミングでリズと良い感じになったけど、諸々の事情で疎遠となってしまう。

ピーターが新たに気にかけていたのはMJという陰キャ女子。やけにリズとの関係が順調に進み過ぎたのは、最初からMJをメインヒロインにするための伏線だったっぽい。

MJの変遷でわかるオタクの理想像

MJといえば、スパイダーマンでお馴染みのヒロインだ。スパイダーマンの無印版にして、最初に実写化となった映画のMJは、如何にも高嶺の花というべきヒロインで、 ある種のテンプレート的なイケてる女の子。

厳密にはMJでないが、アメイジング・スパイダーマンのヒロイン「グウェン」もまた華がある。

そして僕が最近プレイしているスパイダーマンのゲームのMJは、強気なイケイケ系で、洋画などでよく見かけるタイプだ。

対して本作のMJは、クラスでも友達がいないボッチ、さらにオカルト的なものを好むいわゆるオタクだ。

こういうオタク女子的な感じのキャラは、一昔前だとあまりいなかったタイプで、ヒロインに抜擢されるのは珍しいのではと思う。

なぜ本シリーズのMJがオタクなのか、単純に既存イメージのピーターとMJの性格を入れ替えてみただけかもしれないが、個人的にはオタクが求めるヒロイン像が昔と変化しているのではないかとも考える。

クラスのマドンナで付き合ったら周りに自慢できるようなヒロインよりも、等身大で趣味が合いそうなオタク女子の方が、オタクにとっての理想になっているのではないか。

もしくはクラスのマドンナ的なヒロインは、あまりにも高嶺の花になりすぎて、逆に恋愛対象に見えなくなっているという線もある。

どちらにしても、前作で旧来のMJ感があったリズとピーターの恋愛を匂わせつつフェードアウトしたのは、「本作のMJは今までとは違いますよ」というのを伝えたかったのではないだろうか。

ニック・フューリーとラストのアレ

なにげに本作ではフューリーさんの出番が多いが、その割にはミステリオの正体に気づけないなど無能な面が目立った。

「何か違和感があるけど、こんなものかなあ」と思っていたら、最後でまさかのどんでん返し。

敵であるミステリオだけでなく、味方であるフューリーさんも偽物だったという大胆なオチ。

この展開を予想できた人はさすがにいなかったと思う……。

ちなみにラストシーンでフューリーさんが変な宇宙人になったのは、あの宇宙人がスクラル人という変身能力を持った種族で、フューリーさんに化けていたからだ。

フューリーさんとスクラル人は交流があり、どうやらスクラル人はフューリーさんに頼まれて、ニック・フューリーの代理をしていたということだ。

スクラル人についてはキャプテン・マーベルという、別のMCU作品で登場するため、気になった方はチェックしてみよう。

これまでのフューリーさんも偽物だった?

本作のラストでフューリーさんの偽物が登場したが、これはつまり過去のMCU作品に出てきたフューリーさんの中にも、スクラル人が擬態した偽物が混じっていたのではという衝撃の仮定が生まれることになる。

そうなると他のMCU作品で、フューリーさんが無能だった場面があっても、あれは本物ではなく偽物と解釈&擁護できる……。

わざわざラストでアレをぶっこんできたのは、制作側がフューリーさんの株を下げないための配慮や、物語の整合性を合わせる意味合いが強いと思うけど、今後もこの設定は生きてきそうだ。

もしかしたらフューリーさんが影でこういうことをしていて、このときはスクラル人の擬態だったということに触れる作品が出るかもしれないなあ……。

次回作はもっとハードになりそう

最後の最後で正体がバレてしまったピーター君。しかもミステリオ一味の策略で、スパイダーマンが悪者にされるというおまけ付き……。

スパイダーマンが悪者という説は、フューリーさんたちがなんとかしてくれそうけど、完全に悪い印象を払拭することはできず、ギスギスとした場面もありそうだ。

また忘れがちだが、ホームカミングのヒロイン「リズ」は、ヴァルチャーの娘だ。ピーター君の正体を知ったら復讐に乗り出す恐れがある。

他にもホームカミングの最後で、スコーピオンと思われる男が登場しており、スパイダーマンの正体を気にしていた。

ホームカミングとファー・フロム・ホームでは、トニー・スタークと因縁のあるキャラが立ちはだかったが、次回作ではピーター君と因縁のある敵が現れる気がする。

本作のラストからも分かる通り、スパイダーマンことピーター・パーカー君にはまだまだ受難が降りかかりそうだ。

今までに見たスパイダーマンの映画でもトップの面白さ


僕はこれまで、スパイダーマンの映画は一通り見たけど、本作ファー・フロム・ホームは、その中でもトップクラスの面白さだった。

スパイダーマンが抱える新たな問題、MJとの恋愛、ミステリオというユニークなキャラクターなど、各要素が上手くハマっていた。

ホームカミングでは全体的にノリが軽いと感じたが、本作は扱うテーマや展開がハードなため、陽気なノリが絶妙な軽快さをもたらしており、一種の緩衝材となっている。ホームカミングが合わなかった人にもぜひ見てほしい一作だ。